武井宏之「機巧童子 ULTIMO」(1)
谷崎潤一郎「蓼喰う虫」
谷崎さんの中期の作品、らしい。
彼は関東大震災を罹災して、東京から関西へ移住しているため、移住者の目で様々な文化を見ているように思われる。この作品は関西に移った頃、だったはず。もっと後の作品になると、関西どっぷりの目で表現されているけど、この頃はまだ比較的中立的な視線で様々な物をみていて、そして常に東と西を比較しているのが面白い。
というか、自分が東京にやってきたばかりのことを思い出す。いや、今でもまだ自分が東京の人になったとは思えないけれども、かといって岡山の人かと言うとなかなかそうとも言えなくなってきた、というのがおそらく正しい現状分析だろう。なんどか引越をしたけれど、どうもそこに「住んでいる」という実感が少ない。要町や三鷹台あるいは海の向こうのあの街も愛着はあるけど、やっぱり自分の街とは少し違う。
このまままだしばらく根無し草な感じが続くように思う。
10年も同じところに住めば変わるのか、それとも家庭でももてばかわるのか。まぁ、別に今の感じが嫌いなわけではないけれど。
作品の話に戻ると、「陰翳礼賛」のような話が端々に出てくるのもなかなか興味深く、久しぶりに再読したくなりましたとさ。
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能楽事始 狂言「文荷」能「半蔀」@国立能楽堂
純粋な観客としてはじめて能楽事始を観に行った。
当然ながら、能楽ってのは運営側で携わるよりも、ただの観客で観に行く方が気楽だし、舞台に集中できる。が、しかし、自分の後を受けて運営をやっている人たちと打ち上げで飲んでいると、とても楽しそうである。去年は自分も楽しく打ち上がっていたこととかを思い出すと、やっぱり「現場」に出たいとつくづく思う。
でも、「現場」って実はどこでも現場なはずであって、それを現場だと思えるかどうかは当然自分の心持ち次第に過ぎないはず。本当は全ての仕事はお客様に向いているはずだし、そうであるべきだ。なのだけど…どうしてもそれを忘れがちな今の自分がもどかしい。やっぱり、慣れがダレになって来ている時期なのかもしれない。
伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし―お客様の望みをすべてかなえる方法
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Mr.BIGコンサート@横浜アリーナ
ほぼはじめてでライブに行ってきた。(といっても、もう1週間位前か)
横浜アリーナは東京ドームとかよりは小さいらしいのだけれど、それでも自分からしたら異様にでかく、まさに人がゴミのようにいっぱいいました。雨降りで人ごみで、中はさぞかし蒸し暑かろうと思っていたけど、意外に空調が利いてて快適。
なんと、前から3列目のすごい良い席。まさに目の前でパフォーマンスが繰り広げられ、そして目の前にでかいスピーカーがあって、もはや何がなんだか分からないまま圧倒されながら、盛り上がって絶叫して、わーっとなってました。
そんな中で感じたのは、「音楽ってずるい」ということ。日々、いろんなところで、いろんな人が、いろんなやり方で、他人とつながろうとしているのに、その空間の中ではバンドのメンバーを中心に観客全体がなんだかすごい簡単に、一体化して、つながって、団子になって。それってそんなに簡単なことだったっけ、と思ってしまう位、ずるい。勿論それは、彼等が持っている魅力だったり、楽曲の素晴らしさだったり、観客の1つになろうとする指向性だったり、様々な働きかけを各々がやっているからこそ成り立っているとは思うのだけれど。納得とは別のところを目指している空間、というのをまざまざと感じました。
困惑を覚えつつも、自分もしっかり飲み込まれてはしゃいで、すごい楽しかった。
ネクスト・タイム・アラウンド-ベスト・オブ・MR.BIG(デラックス・エディション)
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夕刊フジ特選おつまみ弁当
土曜日。
午前シフト→結婚式@軽井沢。
行きしの新幹線でなにをするかと問うのは愚問である。一も二もなくスーパドライ500ml×2を購入。問題はやはり、駅弁をどうするか、に尽きる。普通の駅弁では、ビールを飲む間におかずがなくなってしまい、米を食べづらい。かといって、柿ピーなんかのおつまみだけでは物足りない。
そこで、今日出会ったのが標題の「夕刊フジ特選おつまみ弁当」。
これを作った方は尊敬すべきジャパニーズビジネスマンの先輩に違いない。まず、二段構成の上段たるおかず=つまみはポテサラをはじめとしてチョイスに全く間違いがない。駅弁において、全てのメニューを間違わないのは至難の業ではないか。
そして何より素晴らしいのが、下段。米は少なく、漬物が多いそのバランスはまさに正解。上段でつまみが足りなくなって、下段の漬物に手を出しても、まだまだ米を食べるには十分の量が残るように計算しつくされている。
これに出会うと後には引けない。さらにビールを頼むしかないではないか。